鑑別診断

腱黄色腫と血清コレスタノール高値を呈する家族性高コレステロール血症とシトステロール血症が重要な鑑別疾患となる.但し,これらの疾患では,胆汁うっ滞,慢性の下痢,白内障,骨粗鬆症,神経症状を呈することはほとんどないため,これらの症状を認める場合は脳腱黄色腫症が強く疑われる.この他,閉塞性胆道疾患や甲状腺機能低下症で血清コレスタノールが上昇する場合があり鑑別が必要である.
神経症状の観点からは,脊髄小脳変性症や痙性対麻痺との鑑別が重要である.原因が特定できない小脳失調症や痙性麻痺の症例,特にMRIで小脳歯状核,淡蒼球,皮質脊髄路,小脳脚,脳室周囲白質,または頚髄~胸髄の側索および後索にT2強調像高信号を認める症例では,本症を疑い血清コレスタノールの測定を実施する必要がある.